この記事では、寅さん映画シリーズの「続・男はつらいよ(第2作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
<映画「続・男はつらいよ(第2作)」の作品データ>

公開日 | 1969年11月15日 |
収録時間 | 93分 |
マドンナ | 佐藤オリエ |
ゲスト | 東野英治郎/ミヤコ蝶々/山崎努 |
監督 | 山田洋次 |
観客動員数 | 489,000人(シリーズ47位) |
同時上映 | 「喜劇 よさこい旅行」 |
啖呵売した商品 | 易本(暦本・人相・手相) ⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト」 |
Contents
「続・男はつらいよ(第2作)」の予告編動画
「続・男はつらいよ(第2作)」作品のあらすじ
約1年ぶりに柴又に帰ってきた寅次郎。
さくらと博の間には子供が産まれていた。
すぐに旅に出るつもりの寅次郎であったが、中学時代の恩師・坪内散歩先生(東野英治郎)と、その娘・夏子(佐藤オリエ)と久しぶりに再会し、旅に出ることを忘れて散歩先生の自宅に上がり込んでしまう。
ところが、寅次郎は胃痙攣を起こして救急車で病院へ。
入院中、寅次郎は病院を抜け出して無銭飲食で警察沙汰となり、またしても柴又にいづらくなり、旅に出ていってしまう。
しばらくして京都で売をしていた寅次郎は、偶然にも旅行中の夏子と散歩に遭遇する。
寅次郎の実の母親が京都にいることを知った散歩は、母親に会いに行くように寅次郎を説得する。
渋々、母親(ミヤコ蝶々)に会いに行く寅次郎であったが、実際に会ってみると想像していた母親とはまるで違う母親であったため、ショックを受けて夏子たちと共に柴又へ帰ってくる。
しばらく柴又で心の傷を癒していた寅次郎であったが、またしても不幸な出来事が起こってしまう。
それは、恩師である散歩の突然の死であった。
しかも、寅次郎は散歩の葬儀を取り仕切りながら、以前入院していた病院の医師・藤村(山崎努)の胸の中で泣いている夏子を目撃してしまう。
「続・男はつらいよ(第2作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- お菊:ミヤコ蝶々
- 夏子:佐藤オリエ
- 藤村:山崎努
- 患者:財津一郎
- 御前さま:笠智衆
- 散歩先生:東野英治郎
- おじさん:森川信
<サブキャスト>
佐藤蛾次郎/太宰久雄/風見章子/津坂匡章/前田吟/三崎千恵子/呉恵美子/水木涼子/大杉侃二朗/北竜介/小田草之介/山本幸栄/江幡高志/石井愃一/脇山邦子/藤間恵美/千早旦子/市山達巳/土田桂司/高木信夫/
マドンナ:佐藤オリエ

<役名:坪内夏子>
坪内散歩の娘で、寅次郎の幼馴染み。
知的でありながら、どこか庶民的なイメージを持つお嬢様。
38年ぶりに母親に会いに行く寅次郎に付き添い、グランドホテルまで足を運ぶほどの情の深さを見せる。
シリーズ中、最も母性を感じさせるマドンナである。
皮肉にも寅次郎が入院した病院の青年医師・藤村(山崎努)と結ばれることになってしまうが、最後の最後まで寅次郎のことを心配し、気にかけていた。
ラストシーンでマドンナの語りで物語が締め括られるのは、唯一この作品のみである。
→「「男はつらいよ」に登場した寅さんの歴代マドンナ47人を徹底ガイド」
ゲスト:東野英治郎

<役名:坪内散歩>
葛飾商業時代の寅次郎の恩師。
柴又で英語の学習塾を開き、子供たちに英語を教えている。
出来の悪い寅次郎をかわいがり、時に厳しい言葉で叱ってくれる、寅次郎にとって唯一の師と呼べる人物。
ゲスト:ミヤコ蝶々

<役名:お菊>
寅次郎の実の母親。
かつて葛飾で芸者をしていた頃に、寅次郎の父・車平造と出会い、子供(寅次郎)を授かる。
寅次郎を産んですぐ、単身で京都へ移り住み、グランドホテルの経営者として働くようになる。
本人の前では憎たらしい言葉を吐き捨てるお菊ではあるが、実の息子・寅次郎のことを心から心配している。
お菊は、第7作「男はつらいよ 奮闘篇」でも登場するが、寅次郎を捨てた理由については一切語ることはなかった。
第44作「男はつらいよ 寅次郎の告白」の時には、お菊がまだ健在であるかのようなセリフを寅次郎が語るシーンがある。
ゲスト:山崎努

<役名:藤村薫>
寅次郎が胃痙攣で入院した病院に勤める青年医師。
皮肉にも、寅次郎が入院したことがきっかけで夏子と出会い、いつしか付き合うまでの関係に発展してしまう。
「続・男はつらいよ(第2作)」作品の解説
第1作目が予想外に大ヒットし、2作目が製作されることとなる。
1作目の公開からわずか3ヶ月という短い期間で撮り終えていることからも、相当のスピードで製作されたことがうかがえる。
今まで会ったことのない産みの母親との悲しい対面、そして人生の恩師・散歩先生との死別など、寅次郎の人生を通して映し出される、人間の生と死について考えさせられる一作。
夢のシーン

寅次郎が、38年ぶりに実の母親・お菊と再会する夢。
本編での出来事を暗示するかのような夢となっており、母親の姿も寅次郎の理想を元に、都合よく具象化されている。
まだシリーズ化されていない冒頭の夢のシーンではあるが、実質これがシリーズ初となる夢のシーンとなった。
38年ぶりに実の母親と対面

この作品では、寅次郎の実の母親・お菊が登場する。
産みの母親の顔を知らないで育った散歩に「生きているうちに母親に会いに行け!」と促され、38年ぶりに実の母親と対面することになる寅次郎。
自分が想像していた母親像とはまるで違うことにショックを受けていたが、どんな理由でケンカ別れしてしまったとしても、結局血の繋がった親子の関係はそんなに簡単に崩れたりはしないということなのかもしれない。
ラストシーンで、寅次郎とお菊は何事もなかったかのように親と子の関係になっているのが、いかにも寅次郎らしくてほのぼのとしてくる。
38年ぶりに再会するグランドホテルでのシーンは、お菊を演じるミヤコ蝶々さんと、寅次郎演じる渥美清さんとの大阪弁VS東京弁の口喧嘩のような構図になっていて面白い。
人間の生死をテーマに、人の一生について考えさせられる作品

この作品は、人間の「生」と「死」という対照的な出来事を元に、人間の一生について深く考えさせられる。
つまり、「生」とは寅次郎が母親に会いに行くシーンであり、「死」とは散歩先生の死に直面するシーンである。
母親の存在を知るということは、すなわち自分のルーツを再認識するということだ。
どんなに酷い母親であったとしても、母と子という関係は一生続くものであり、その事実をねじ曲げることはできない。
結局のところあるがままを受け入れるしかないのだ。
これが自分の生を認識し、死ぬまでその事実を受け入れていくということだ。
そして、散歩先生の突然の死は、人はいつか死ぬという事実を教えてくれている。
しかも、目の前でまざまざと見せつけられた散歩先生の死は、寅次郎にとって死というものを十分に理解できるものだったに違いない。
第1作目の作品と比較するならば、この作品では寅次郎自身の泣きのシーンがとても多い。
とはいうものの、決して重たいテーマとして扱われるものではなく、全体としてやはり笑いがベースにある喜劇映画であることに間違いはない。
そして、この作品でも渥美清の歯切れのいいセリフ回しや、アドリブが思う存分堪能できるはずだ。
「続・男はつらいよ(第2作)」の動画配信サービス
映画「男はつらいよ」シリーズは、「FODプレミアム」「hulu」「U-NEXT」などの動画配信サービスを利用することで、いつでも視聴することができます。