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「男はつらいよ」主題歌の歌詞フルコーラス(セリフ付き)と作品ごとで毎回変わる構成を紹介

2019年7月31日

「男はつらいよ」の主題歌は、作品によって使われている歌詞(バージョン)が違います。

そして、「男はつらいよ」マニアの方は気付いていると思いますが、よく聞いてみると同じ歌詞であっても作品ごとに微妙に歌い方が違っているのがわかります。

これは、各作品ごとに主題歌を録り直しているためです。

「男はつらいよ」は、映画が作られる前はテレビ版として放送されていましたが、そのドラマ版で使われていた主題歌がすでに映画版で使われていたものと同じものを使用しています。

なので、映画が製作される前にすでに存在していた主題歌ということになります。

ドラマ版が放送されていたのが1968年(昭和43年)から1969年(昭和44年)、映画版の第1作目が公開されたのが同年1969年なので、ドラマ版が終了した年に映画版が作られたことになります。

しかし、「男はつらいよ」の主題歌がレコード化されたのが1970年2月ということなので、映画版が作られた後になってからレコードが発売されたということになります。

映画が作られる度に、主題歌に含まれるセリフ(口上)と歌詞の内容が変わるという「男はつらいよ」ですが、実際に何バージョン存在していたのかついてまとめてみます。

今回は、レコードに収録されていたと思われる「男はつらいよ」主題歌の歌詞(セリフ付き)の構成と作品ごとで使われた様々なバージョンでの構成について書いてみたいと思います。

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「男はつらいよ」主題歌の正式なタイトルと作詞・作曲家について

「男はつらいよ」の主題歌の正式なタイトルは「男はつらいよ」で、そのままのタイトルとなっています。

作詞・作曲を手掛けた人物

作詞: 星野哲郎(ほしの てつろう)
作曲: 山本直純(やまもと なおずみ)
歌: 渥美清(あつみ きよし)

作詞家・星野哲郎について

星野哲郎(1925年12月9日~2010年11月15日)は、日本を代表する作詞家の一人です。「男はつらいよ」の他にも、「兄弟船」(鳥羽一郎)、「アンコ椿は恋の花」(都はるみ)、「三百六十五歩のマーチ」(水前寺清子)など、数多くのヒット曲を手掛けました。

演歌から歌謡曲まで幅広いジャンルで活躍し、その作詞作品は5,000曲を超えると言われています。「男はつらいよ」では、寅さんというキャラクターの人間味溢れる心情を、庶民的で温かみのある言葉で表現しました。

作曲家・山本直純について

山本直純(1932年12月16日~2002年6月18日)は、作曲家、指揮者、タレントとして幅広く活躍した音楽家です。クラシック音楽の指揮者としても知られており、テレビ番組「オーケストラがやって来た」の司会を務めるなど、クラシック音楽の普及にも貢献しました。

「男はつらいよ」の主題歌では、哀愁と温かみを兼ね備えた名曲を生み出し、日本映画史に残る楽曲となりました。その他にも、「男の純情」(鶴田浩二)などの楽曲も手掛けています。

1970年2月10日に発売されたレコードに収録されている「男はつらいよ」主題歌(テーマ曲)の歌詞フルコーラス(セリフ付)の基本構成

渥美清が歌っている「男はつらいよ」の主題歌のレコードが発売されたのが、1970年2月10日です。

このレコードに収録されている音源は、「男はつらいよ」のサントラ版には収録されているかもしれませんが、この曲単体でのCD化はされていないと思います。

おそらく、レコード版に収録されていたと思われる構成は、以下の動画のようなものです。

「男はつらいよ」主題歌の歌詞(セリフ付)

作詞:星野哲郎
作曲:山本直純
歌:渥美清

(セリフのパート)

私生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天でうぶ湯を使い、姓は車、名は寅次郎。
人呼んでフーテンの寅と発します。

(歌のパート)

俺がいたんじゃ お嫁にゃ行けぬ
わかっちゃいるんだ 妹よ
いつかおまえのよろこぶような
偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐も無く
今日も涙の今日も涙の日が落ちる
日が落ちる

ドブに落ちても 根のある奴は
いつかは 蓮の花と咲く
意地は張っても心の中じゃ
泣いているんだ兄さんは
目方で男が売れるなら
こんな苦労も
こんな苦労もかけまいに
かけまいに

男とゆうものつらいもの
顔で笑って
顔で笑って腹で泣く
腹で泣く

(セリフのパート)

とかく西に行きましても東に行きましても
土地土地のお兄貴さんお姐さんにごやっかいかけがちになる若造です。
以後見苦しき面体お見知りおかれまして、向後万端ひきたってよろしくおたの申します。

歌詞のリピート部分の

<男とゆうものつらいもの
顔で笑って
顔で笑って腹で泣く
腹で泣く>

このリピート部分は、映画版「男はつらいよ」の48作ある中で一度も使われていない部分です。

なので、このレコード化された主題歌はおそらくテレビ版で使うために録音された構成なのかもしれません。

毎回変わる映画「男はつらいよ」の主題歌(フルコーラス)の歌詞構成は5番まで、寅さんのセリフの構成は2種類

「男はつらいよ」主題歌の歌詞は、1番から5番までの構成となっています。

しかし、映画の冒頭で流れる主題歌は、必ず1番から5番までの構成になっているわけではありません。

だいたい2部構成となっていて、作品ごとに使われる歌詞はランダムに組み合わせたようにバラバラな構成になっています。(実際には、それぞれの作品の内容に合わせてセレクトしているかもしれませんが・・・。)

ちなみに、1番の歌詞が使われたのは、第3作「男はつらいよ フーテンの寅」までとなります。

きっと、寅さんの妹のさくらがヒロシと結婚してしまったためです。

1番の歌詞が使われなくなるのは、作品の背景と歌詞がマッチしなくなってしまうという意味なのでしょう。

「男はつらいよ」主題歌の歌詞全5番

1番
俺がいたんじゃお嫁にゃ行けぬ わかっちゃいるんだ妹よ
いつかお前が喜ぶような偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の、今日も涙の陽が落ちる、陽が落ちる

2番
どぶに落ちても根のある奴は、いつかは蓮の花と咲く
意地は張っても心の中じゃ泣いているんだ兄さんは
目方で男が売れるなら こんな苦労もこんな苦労も掛けまいに、掛けまいに

3番
どうせおいらはヤクザな兄貴、わかっちゃいるんだ妹よ
いつかお前が喜ぶような偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の、今日も涙の陽が落ちる、陽が落ちる

4番
どうせおいらは底抜けバケツ わかっちゃいるんだ妹よ
入れたつもりがスポンのポンで何もせぬよりまだ悪い
それでも男の夢だけは 何で忘れて、何で忘れているものか、いるものか

5番
あても無いのにあるよな素振り、それじゃあ行くぜと風の中
止めに来るかと、あと振り返りゃ誰も来ないで汽車が来る
男の人生一人旅、泣くな嘆くな、泣くな嘆くな影法師、影法師

歌詞の意味と解釈

2番の歌詞「目方で男が売れるなら」の意味

この歌詞は、「体重や体格で男の価値が決まるなら」という意味です。寅さんの大柄な体格を自虐的に表現しつつ、「男は外見や体格ではなく、心や行動で評価されるべきだ」という思いが込められています。しかし実際には思うようにいかない寅さんの不器用さと優しさが表現されています。

4番の歌詞「底抜けバケツ」の意味

「底抜けバケツ」は、水を入れてもすぐに抜けてしまい役に立たないバケツのことで、「何をやってもうまくいかない」「努力が報われない」寅さん自身を象徴する表現です。「スポンのポン」は擬音語で、水が抜けていく様子を表しています。

ちなみに、4番は聞き慣れない歌詞になっていますが、第4作目「新・男はつらいよ」の冒頭でしっかりと流れています。

このバージョンが使われたのは、この第4作のみです。

この4番の歌詞は幻の4番と言われており、何やら誰が作詞を手掛けたのかわからないらしいです。

この第4作目「新・男はつらいよ」の監督が山田洋次ではなく、小林俊一になっているのが関係しているのかもしれません。

冒頭部分の寅さんのセリフ(口上)

そして、映画版の「男はつらいよ」は、必ず冒頭部分に寅さんのセリフ(口上)が入って歌が流れ出します。

そのセリフ(口上)は、基本的にパターン1が使われていますが、32作目の「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」の時だけ、なぜかパターン2が使われています。

パターン1
わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎。人呼んでフーテンの寅と発します

パターン2
大道三間、軒下三寸、借り受けましての渡世。わたくし、野中の一本杉でございます

「男はつらいよ」主題歌(フルコーラス)をカバーした歌手

「男はつらいよ」の主題歌は、数多くのアーティストによってカバーされてきました。それぞれの歌手が独自の解釈と表現で、この名曲に新たな命を吹き込んでいます。

八代亜紀バージョン

八代亜紀は、第49作「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」(1980年)の主題歌として実際に映画の中で歌いました。これは映画シリーズの中で、渥美清以外の歌手が主題歌を歌った初めての作品となりました。

八代亜紀の力強くも温かみのある歌声が、寅さんの人生に新たな色彩を加えています。女性歌手が歌うことで、また違った角度から寅さんの心情が浮かび上がります。

桑田佳祐バージョン

サザンオールスターズの桑田佳祐も「男はつらいよ」をカバーしています。桑田らしい独特の歌唱法と解釈で、現代的なアレンジを加えながらも、原曲の持つ哀愁と人間味を大切にした演奏となっています。

若い世代にも「男はつらいよ」の魅力を伝える架け橋となるカバーバージョンです。

玉置浩二バージョン

玉置浩二は、アルバム「群像の星」にこの曲を収録しています。日本を代表する実力派ボーカリストである玉置浩二が歌うことで、圧倒的な歌唱力と表現力により、寅さんの心の奥底にある感情がより深く伝わってきます。

玉置浩二の透明感のある高音と感情表現の豊かさが、この楽曲に新たな深みを与えています。

その他の女性歌手によるカバー

八代亜紀以外にも、多くの女性歌手がこの曲をカバーしています。女性の視点から歌われることで、寅さんを見守る妹・さくらや、寅さんが恋した女性たちの想いが重なり、楽曲に新たな解釈が生まれます。

「男はつらいよ」主題歌の楽譜・コード・カラオケ情報

楽譜について

「男はつらいよ」の楽譜は、各種楽器用(ピアノ、ギター、ウクレレなど)の楽譜が出版されています。楽器店や音楽専門の書店、オンライン楽譜販売サイトなどで購入可能です。

初心者向けから上級者向けまで、様々なアレンジの楽譜が用意されているため、自分のレベルに合わせて選ぶことができます。

コード進行について

「男はつらいよ」のコード進行は比較的シンプルで、ギターやウクレレで弾き語りをするのに適しています。基本的なコードで演奏できるため、初心者の練習曲としても人気があります。

インターネット上には、無料でコード譜を公開しているサイトも多数存在します。

カラオケについて

「男はつらいよ」は、主要なカラオケ機種(DAMやJOYSOUND)に収録されています。カラオケでは、渥美清のオリジナルバージョンだけでなく、八代亜紀などのカバーバージョンも選択できる場合があります。

セリフ(口上)の部分も含まれているバージョンがあるため、本格的に寅さんになりきって歌うことができます。

ピアノ演奏について

ピアノでの演奏も人気があり、様々なアレンジ楽譜が出版されています。クラシック調のアレンジから、ジャズ風のアレンジまで、演奏者の好みに合わせて選ぶことができます。

YouTubeなどの動画サイトには、ピアノ演奏の動画も多数アップロードされており、参考にすることができます。

オーケストラバージョンについて

「男はつらいよ」は、オーケストラによる演奏バージョンも存在します。作曲者の山本直純自身が指揮者でもあったことから、オーケストラアレンジも非常に完成度が高く、壮大で感動的な演奏となっています。

映画のサウンドトラックにも、オーケストラによる様々なアレンジが収録されています。

2019年第50作「男はつらいよ お帰り 寅さん」について

2019年12月27日に公開された「男はつらいよ お帰り 寅さん」は、シリーズ第50作目となる記念すべき作品です。渥美清の没後22年を経て製作されたこの作品では、過去の映像を使用しながら新たな物語が紡がれました。

主題歌も当然使用されており、長年愛されてきたこの楽曲が、新たな世代にも受け継がれることとなりました。

まとめ:「男はつらいよ」主題歌の歌詞フルコーラス(セリフ付き)と作品ごとで毎回変わる構成を紹介

今回は、レコードに収録されていたと思われる「男はつらいよ」主題歌の歌詞(セリフ付き)の構成と作品ごとで使われた様々なバージョンでの構成について書いてみました。

作詞家・星野哲郎と作曲家・山本直純によって生み出されたこの名曲は、50年以上にわたって日本人の心に寄り添い続けています。

「男はつらいよ」のオープニングで流れる主題歌は毎回録音されたものを流していたので、その時々の渥美清の声の表情が変わっていて面白いものです。

声に力強さを感じる時と、ささやくようにどこか優しい声に聞こえる時もあります。

26年間続いた「男はつらいよ」は、渥美清という一人の人間が歩み続けた記録とも言えるのではないでしょうか。

そして、八代亜紀、桑田佳祐、玉置浩二など、多くのアーティストによってカバーされることで、この楽曲は世代を超えて愛され続けています。

カラオケで歌ったり、ピアノやギターで演奏したりと、様々な形でこの名曲を楽しむことができます。楽譜やコード譜も容易に入手できるため、ぜひ自分なりの「男はつらいよ」を表現してみてください。

「男はつらいよ」の全作品を見放題で配信している動画配信サービス一覧

「男はつらいよ」の全作品を見放題で配信している動画配信サービス一覧
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